介護福祉士という職業があることをご存じでしょうか?
名前は聞いたことがあっても、実際にどのような仕事をしていて、どんなやりがいがあるのかはあまり知られていません。
そこで今回は介護福祉士になるための資格取得方法はもちろん、仕事内容ややりがい、年収についてわかりやすくまとめてみました。
介護福祉士とは
介護福祉士とは国家資格の名称で、数ある介護系資格の中で唯一の国家資格でもあります。
無事、試験に合格し登録を済ませることで国に認められた介護職員として活躍することができます。国家資格であることから一度取得すれば永久のものであり、更新がないのも特徴です。
詳しくは後述しますが、介護福祉士の仕事内容としては要介護者が不自由なく日常生活を送ることができるようにサポートしたり、介護に関する相談に応じたりすることが挙げられます。
介護福祉士とケアマネージャーの違いとは
介護福祉士と並んで比較検討される資格の一つにケアマネージャー、通称ケアマネがあります。
資格要件の違いとして、介護福祉士が国家資格であるのに対し、ケアマネージャーは公的な資格になります。
また仕事内容も大きく異なり、介護福祉士は介護現場で直に要介護者と向き合って仕事をしますが、ケアマネージャーはどちらかといえば直接の介護ではなく介護保険制度に基づいて、ケアプランの作成を行ったりとサポート的な役割が強いといえます。
介護福祉士が第一線で要介護者に関わるのに対し、周辺環境から包括的に整えていくのがケアマネージャーといえるでしょう。
ケアマネージャーについては以下参考にしてください。
ケアマネージャー(介護支援専門員)の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
介護福祉士の資格を取るには
介護福祉士の資格を取得するにあたり、大きく分けて以下3つのルートがあります。
- 養成施設ルート
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
さっそくひとつずつ見ていきましょう。
養成施設ルート
養成施設ルートは2017年1月実施試験まで、特定の介護福祉士養成施設を卒業しさえすれば介護福祉士の資格が取得できるとされていました。
しかし、法改正によって2018年1月実施試験からは介護福祉士養成施設を卒業した後に介護福祉士試験に合格しなければ、介護福祉士の資格が取得できなくなりました。
なお、2017年4月1日~2022年3月31日までの卒業生に限り『経過措置』が設けられていることも併せて抑えておきましょう。
養成施設ルートは短期で介護福祉士を目指すことができる反面、短期大学や専門学校に通う必要があり、費用面で少々割高になります。
実務経験ルート
介護施設で働きながら実務経験を積み、介護福祉士の取得を目指すといったいわば王道ルートになります。
実際に介護の仕事に携わりながら資格を目指せるので、取得後の働き方がイメージしやすくモチベーションも維持しやすく、他のルートで介護福祉士を目指すより費用面でも安く済むのもメリットのひとつといえます。
受験資格として
- 対象となる施設(事業)及び職種での従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日時540日以上
- 介護職員実務者研修を受講している
といった2点が挙げられます。
実務経験の対象となる施設は、社会福祉施設、病院・診療所、介護等の便宜を供与する事業(主な業務が介護であること)となっています。
また、従事日数には年次有給休暇・特別休暇・出張・研修などで実際に介護業務に従事しなかった日数は含まれないので、注意しましょう。
実務経験ルートでは、経験年数以外に実務者研修講座を修了していることが受験の必須条件となりますので、まずは実務者研修講座を所定のスクールにて先に修了することをおすすめします。
福祉系高校ルート
福祉系高校または、福祉系特例高校を卒業したあと、国家試験を受験して介護福祉士を目指すルートです。
福祉系高校ルートは福祉系高校を平成21年以降に入学した人と、それ以前の人とで受験資格が少々異なります。
平成21年以降に福祉系高校に入学した場合、卒業後に筆記試験で合格すれば介護福祉士の資格を取得することができます。
平成20年度以前に入学した人は卒業後に筆記試験および実技試験に合格すれば資格を取得することができます。なお「介護技術講習」を受講している場合は、介護福祉士の実技試験が免除となります。
福祉系特例高校に平成21年以降入学した人は、実務経験を9ヶ月つんだ後に筆記試験および実技試験に合格すれば、介護福祉士の資格を取得することができます。
詳しくは以下のサイトで確認してみてくださいね。
認定介護福祉士、ヘルパーとは
介護福祉士と並んで、よく名前が挙げられるものとして「認定介護福祉士」と「ヘルパー」があります。
ここではそれぞれについて、まとめてみました。
認定介護福祉士とは
認定介護福祉士とは介護士の上位資格にあたり、2005年12月から認証・認定された比較的新しい資格です。
認定介護福祉士になるには
- 介護福祉士資格を持っていて、かつ実務経験が5年以上
- 認定介護福祉士養成研修にて600時間の講義を受講
といった条件をクリアする必要があります。
また、認定介護福祉士養成研修を受けるにあたり
- 介護福祉士としての実務経験が5年以上
- 介護職の小チーム(5-10名程度)でのリーダーとしての実務経験を有している
- 居宅/居住(施設)系サービス双方での生活支援の経験をもつことが望ましい
といった受講要件も定められています。
介護士と異なり、現場をまとめるリーダーとしての役割を求められることが多く、取得後は介護士のときと比べ要介護者と直接関わる機会が減ることが予測されます。
その反面、介護サービス向上のための後継者の育成や地域包括ケアの推進などに携わることができるでしょう。
ヘルパーとは
基本的にヘルパーとは特定の資格があるわけではなく、助けを必要とする人に家事サービスや身体の介護を提供する人のことを指しています。
また、かつて民間の資格に「ホームヘルパー2級」というものがありましたが、2013年以降「介護職員初任者研修」という名称に変わりました。
介護の入門資格に位置づけられ、介護のイロハを1から学ぶことができるため、これから介護に携わりたいと思っている方におすすめです。
ヘルパーについては以下参考にしてください。
ヘルパーの資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の仕事内容として、
- 身体介護
- 生活援助
- メンタルケア
がメインとして挙げられます。
「身体介護」はその名の通り、食事や入浴、排泄の補助など主に身体に触れて行う補助行為のことを指します。
具体的には入浴の際に身体を洗ってあげることはもちろん、服の脱ぎ着などをお手伝いすることもあるでしょう。
食事に関して言えば、食べやすい大きさに切り分けた上で口元まで運んであげるなど、要介護者がしっかりと食事を取ることができるように補助します。
「生活援助」は要介護者の代わりに買い物へ行ったり、洗濯や掃除を行うなど家事全般のお手伝いのことを指します。
買い物は食材や日用品の買い出しに行き、場合によってはそれらで簡単な料理をつくってあげることもあるでしょう。
また、はがきを出しに行ったり、重たいものを代わりに運んであげるなどといったことも生活援助に含まれます。
「メンタルケア」は話し相手になり、ときには相談に乗るなどして要介護者をメンタル面からも支える役割を果たします。
似た資格にケアマネージャーがありますが、こちらは要介護者に合ったケアプランの作成を行い、直接介護を行うことはそれほど多くありません。
直に要介護者と関わるかどうかが、大きな違いといえるでしょう。
特に要介護者が高齢である場合、社会から孤立していることが多く、あなたとの会話がとても楽しく新鮮なものになるはずです。
介護福祉士の就職先
介護福祉士の就職先として、主に次のようなところが該当します。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護付き有料老人ホーム
- 訪問介護事業所
- デイサービス
いずれも介護福祉士が求められる職場であり、高齢者社会が進む日本において需要はますます高まっていくでしょう。
そのため、就職先に困るといったことはないといえます。
介護福祉士のやりがい
介護福祉士のやりがいとして、直に要介護者と接することで感謝の言葉をもらうことができること、そして利用者が生き生きする姿を直に見ることができることが挙げられます。
ケアマネージャーでも感謝の言葉を聞くことはできますが、より介護の現場に近い場所で「ありがとう」という言葉をもらうことができるのは介護福祉士ならではのやりがいといえるでしょう。
自身の介護によって利用者の方が生きがいを見出し、生き生きする姿になっていく様を見ることができるのも醍醐味・やりがいといえるかもしれません。
また直接相手と接する中でいろんな話を聞くことから、人生観が広がるだけでなく、自身の見聞が広がることにもつながります。
自分自身を人間的にも大きく成長させることができることこそ、介護福祉士の最大のやりがいといえるかもしれません。
介護福祉士の平均年収
厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査によると、福祉施設で働く介護職員の平均年収は41歳で340万円となっています。
介護福祉士に限った平均年収ではないものの、ひとつの指標として参考になるでしょう。
介護福祉士は年齢による年収の上昇は少ないため、介護福祉士としてずっとやっていきたいと考えている場合、上級資格となる認定介護福祉士を目指すか、ケアマネージャーの資格を取得することで年収アップにつなげることができます。
参考までにケアマネージャーの平均年収は3,854,000円となっています。
介護福祉士の将来性
高齢者社会が深刻化する現在の日本において介護業界の人材不足は目に見えており、今後ますます介護福祉士の需要が高まることが予想されます。
その一方、介護職が薄給だという声もありますが、いま政府ではそのような声を受けて様々な処遇改善作を検討しています。
また、介護福祉士からケアマネージャーや認定介護福祉士へとステップアップする道もあり、介護福祉士の将来性は世間で騒がれているほど悪いものではありません。
介護福祉士はステップアップで将来制もありやりがいのある仕事!
今回は介護福祉士の資格取得についての概要と、仕事内容・年収・やりがい等についてお伝えしました。
介護福祉士は今後ますます需要が高まるとともに、労働環境および処遇が改善されることが見込まれます。
いま取得に向けて励んでいるあなたも、これから取得しようか悩んでいるあなたも、今回の記事が少しでも参考になっていたら幸いです。
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