子育てうつ状態とは
子どもを育てていると、「産後うつ」「育児うつ」という言葉を耳にすることがあります。
でも実際にどの程度の症状が「うつ」と呼ばれるのか、防止するにはどうするべきなのかなど詳しいことがわからないのが実情です。
この記事では、うつの症状や特徴、うつを発症することで起こる危険性や防止法までをご紹介します。
子どもを産むと、ママは「この子を安全に正しく育てなければいけない」と自分自身に過度な責任を負わせることが増えるものです。
ストレスをためうつにかかる前に、正しく「うつ」について理解し、病気を予防しませんか?
子育てうつの症状・特徴
日本周産期メンタルヘルス学会のパンフレットによると、子育てうつとは、「分娩後の情動的および身体的な要因によって起こる」と定義されています。
(引用:日本周産期メンタルヘルス学会 産後のメンタルヘルスパンフレットより)。
ママは妊娠した時から、それまでの人生では味わうことのなかった子育てという難題に直面していきます。
「マタニティブルー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。産前産後のママは、ホルモンの分泌が急激な変化を繰り返すため、感情をコントロールする役割を担う中枢神経に影響を与えて一時的に気分が落ち込むことがあります。
長くは続かず、産後2週間程度で自然とおさまることが多くなります。
対して子育てうつ・産後うつと呼ばれる症状は、このような感情の落ち込みが長く続いたり、さらには罪悪感や緊張感に常にさらされたりします。
子育てうつはいまだ原因が特定されていないのですが、症状の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 子どもはかわいいのに、笑えなくなった
- 物事がうまくまわらないと思うことが増えた
- 理由もないのに、不安になったり心配になったりする
- むなしさを感じて眠れないことがある
- 私は不幸だと思ってしまい、涙が出てしまう
このような内容に心当たりがある場合は、産後うつ・子育てうつと判断されてしまうかもしれません。
助産師や保健師など専門の知識を持った人に早めに相談して、ママのこころの手当てをすぐに始めましょう。
子育てうつの危険性
子育てうつが持つ危険性は、まず本人や家族が病気そのものになかなか気づかない点にあります。
子育てがどんなに大変で辛くても、ママは誰にも相談できなかったり、外に出られず引きこもりがちになったりすることで、周囲もママのこころのSOSに気づくことが遅れてしまうのです。
その間に症状が徐々に進行し、孤独感から自分自身を傷つけることにつながる可能性もあります。
子育てうつの考えられる要因
子育てうつを発症してしまう要因は、どのようなことでしょうか。
考えられる点を3つご紹介します。
子育ては孤独を感じやすい
ママは子どもと向き合う時間が増えることで「社会から閉ざされた」「孤独だ」と感じることが多くなります。
排せつのことも、授乳や離乳食のことも、子どもは思うように育たないものなのですが、その原因を「すべて子どもに対じしている自分のせいだ」と思い込みがちです。
頑張りやさんが多い
一生懸命頑張るゆえに、だれにも相談できないと悩みを抱え込むことも子育てうつの要因に考えられます。
「子どもが生まれても、掃除や料理は完璧にやる」「自分しかこの子を守れる存在はいない」などと強く思うママは、その分子育てや家事のストレスも多く感じてしまいます。
家族の協力が得られない
いわゆるワンオペ育児の家庭に多く見受けられます。子どもが泣いていてもパパはゲームばかりやっている、自分の趣味を優先して、妻子を家に置いて出かけてしまうなどすることは、ママのこころをふさがせるばかりです。
「せめてトイレの時間だけは子どもをあやしてもらいたい…」「おむつ替えは率先してやってほしい…」など、ママはパパにこころの奥で願っているはずです。
子育てうつの防止法
子育てうつを防止する方法はあるのでしょうか。どのようなことが有効なのか、その防止方法をチェックしてみましょう。
防止法1:家族に相談
子どもが生まれると、ママは「どうしても子育てがうまくいかない」「助けてほしい」と思うこともありますよね。
そんなときは、臆さず家族に相談しましょう。話をして今の育児の状況を共有することがとても大切です。
そして、SOSのサインを家族が受け取ったときは、1時間でもいいのでママを子育てや家事から解放してあげましょう。
未然にうつの発症を防ぐには家族の協力が不可欠です。コミュニケーションを普段から密にとることも大事で、ママのこころの変化や、育児に対する悩みがどう増えたか、家事を代わりにやってほしい部分があるなどの要望に気づきやすくなります。
防止法2:できないことは無理せず代行サービスなどを利用
ママは子育てで手いっぱいです。家事はできるだけ手を抜くか、代行サービスなどの便利なサービスを頼むことも視野に入れましょう。
「産休中でそんなお金は使えない」という場合は、行政の福祉サービスや生活協同組合のサービスを利用することもおすすめです。自治体にもよりますが、子どもの一時預かり、家事の代行、子育て支援サービスなど、子育て初心者のママが「あったらいいな」と思うサービスは必ず見つかります。
生活協同組合など民間団体のサービスもおすすめ。
たとえば子どもが小さくて、庭の草むしりにどうしても手が回らないという時の代行や子どもの一時保育などを対応してもらえます。
料金も比較的安価なため、日ごろからお買いもの場所の掲示板や広報誌などをチェックして、ママは自分自身を楽にしてあげてください。
子育てうつのチェック項目
ご自身が子育てうつかどうか、気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
現在、産後うつ病かどうかを確認するためには、「エジンバラ産後うつ病自己評価票(略称:EPDS)」というものが一般的に使用されています。
エジンバラ産後うつ病自己評価票のチェック項目は以下の10項目です。
- 笑うことができた。物事のどの部分がおもしろいかもわかった。
- 物事を楽しみにして待てた。
- 物事がうまくいかなかったとき、自分を必要以上に責めた。
- 理由がないのに、不安になったり心配になったりした。
- はっきりした理由がないのに、恐怖を感じた。
- やらなければいけないことが多く、とても大変だった。
- 自分は不幸せなので、眠れなかった。
- 悲しくなったり、自分をみじめに思ったりした。
- 不幸せだから、泣けてきた。
- 自分自身を傷つけようと思った。
それぞれの質問には回答が4種類あって、0~3点までの点数がつけられます。
過去7日間にこれらの症状が2週間以上続いたものについて回答し、合計点数が9点以上だと産後うつの可能性があるとされます。
うつ状態になってしまった時の対処方法
実際にうつ状態になった際は、どうするのが良いでしょうか。対処方法を2つご紹介します。
対処法1:一人で抱え込まず早めに家族に相談を!
うつ状態になると、育児どころではなくなるなど自分自身のことで精いっぱいになってしまいます。
「誰にも相談できない」と悩みを一人で抱え込まず、まずは辛い気持ちを思いきって正直に家族に打ち明けましょう。
夫やご自身のご両親、兄弟でも構いません。SOSを出すことが一番早く症状から抜け出す対処法です。
恥ずかしいとか、話してもわかってもらえないと決めつけるのではなく、助けを求め対策を練りましょう。
対処法2:専門家や専門機関を訪ねて早急に対処!
産後うつはママに悪いところがあるから起こるわけではありません。
前述のチェック項目であてはまるものがあれば、ご自身が通っていた産婦人科の先生や助産師さん、産後のメンタルヘルスにも精通している心療内科などがある医療機関を訪ねてください
。自治体に常駐している専門知識をもった保健師さんに相談することもおすすめです。守秘義務があるため、心強い味方となってくれます。
子育ての悩みや不安・心配は絶対に一人で抱え込まないで!
慣れない育児は、いくら我が子がかわいく良い子であっても、必ず悩みや不安・心配を引き起こします。
それでなくても夜間の授乳や夜泣きの対応もしなくてはならず、産後の傷ついた身体に追い打ちをかけることになります。
辛いときは「辛い」と口に出して、家族に助けを求めましょう。
感情的になる前に、少しずつでも吐き出すことを意識して、ママはこころの負担を軽くしてかわいい赤ちゃんやお子さんに家族全体で向き合えるようにしましょう。
子育てのうつは誰しも経験し得ることです。
ご紹介した内容を参考にしていただき、うつ症状を回避して子どもを育てていきましょう。
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