妊娠、出産のお手伝いや新生児ケアを行う助産師。
新しい命の誕生には欠かせない存在である一方、案外その仕事内容やなり方を知らない人も多いのではないでしょうか?今回は、助産師に興味を持っている人や助産師を目指している人のために、資格の取り方からなり方、仕事内容、やりがい、年収について解説していきます。
助産師とは?
助産師とは、読んで字のごとく「出産を助ける」ことを任務とする、国家資格の職業です。
英語では「Midwife」と呼ばれ、妊娠や出産、産後、新生児ケア、新妊婦の保健指導など、出産に関わるさまざまな業務を担当します。
かつては「産婆」と呼ばれていましたが、昭和23年以降は「助産婦」、平成14年以降は「助産師」と名称が変わりました(保健師助産師看護師法)。海外には男性助産師がいる国もありますが、日本では女性のみが就ける職業となっています。
助産師の資格を取るには
助産師になるためには看護師と助産師の国家試験に合格しなければなりません。これら2つの国家試験を受験するためには、それぞれの養成課程を修了する必要があります。助産師になるまでのルートにはいくつか選択肢があるので、国家試験までの進路を説明した上で、試験概要を紹介していきますね。
助産師、看護師国家試験を受験するまでのルート
助産師になるためには、まず看護師国家試験に合格し、その後助産師国家試験に合格しなければなりません。2つの試験を突破するためには、次のようなルートがあります。
4年制大学の看護学科に入学し看護師と助産師の養成課程を修了すれば、同じ年に2つの国家試験を受験することも可能です。ただしこの場合、かなりハードな学生生活になることが予想されます。また、すべての看護学科に助産師養成課程があるわけではないので注意しましょう。
短大や専門学校に進学する場合は、看護師養成課程を経て国家試験に合格した後、助産師養成課程を修了しなければなりません。
2つの国家資格が必要なので、助産師になるためには最低でも4年の期間と、相当な努力が必要とされます。
助産師、看護師国家試験の概要と合格率
助産師になるために必要な、看護師と助産師国家試験の概要と合格率は以下の通りです。
<看護師国家試験>(2020年1月時点の情報)
試験日程 | 毎年2月 |
試験会場 | 北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
受験料 | 5,400円 |
試験科目 | 人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護論、看護の統合と実践 |
合格基準 | 70%弱以上の正答率(合格率調整のため毎年変わる) |
合格率 | 90%前後 |
<助産師国家試験>(2020年1月時点の情報)
試験日程 | 毎年2月 |
試験会場 | 北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
受験料 | 5,400円 |
試験科目 | 基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健、助産管理 |
合格基準 | おおむね60%以上の合格率 |
合格率 | 95%前後 |
看護師国家試験は、合格率を90%前後に調節するため年度によって合格基準が変わります。助産師国家試験は合格率が95%前後と高くなっていますが、決して簡単な試験というわけではありません。助産師になるためには相当な努力が必要であり、志を高く持ちきちんと勉強した人たちが受験しているため高い合格率になっているのです。
参考:厚生労働省 資格・試験情報
看護師については以下参考にしてください。
看護師の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
助産師活躍の場所
助産師は、病院や診療所、助産院、保健所、出張助産師などさまざまな場所で活躍できます。その中でも病院と診療所で働く人が多く、助産師全体の85%以上を占めています。それぞれの職場での仕事内容は次の通りです。
- 病院:ベッド数20床以上の医療機関。産科または産婦人科に所属し、産科医と連携しながら妊娠、出産、新生児のケアを行う。
- 診療所:ベッド数0~19床の医療機関。病院同様、産科医と連携して業務を行う。ただし、ベッドがなく出産には対応しない診療所の場合、分娩介助には携わらない。
- 助産院:助産師のみで運営されるベッド数9床以下の施設。医師がいないため医療行為は禁止されているが、さまざまな出産スタイルでケアを行う。
- 保健所:地域の保健所に公務員として勤務する。子育て支援活動や乳幼児健診の補助、女性の健康相談など、産後の母子のサポートを行う。
- 出張助産師:自宅での妊婦検診や出産を望む人のところに出向き、必要なケアを行う。母子へのマッサージや育児相談など産後のきめ細やかな対応が求められる。
助産師の仕事内容
妊娠、出産、産後のケアを行うと言っても、具体的な仕事内容はなかなかイメージしにくいかもしれません。ここでは、助産師の仕事内容を出産前、出産時、出産後に分けて説明していきます。
出産前の仕事内容
出産前には、赤ちゃんが無事に生まれるように、妊婦が安心して出産に臨めるように、健康面と精神面のサポートをします。
具体的には、妊婦と胎児の健康状態の把握や、食事や運動の指導などを行います。また、「産前教育」と言って母親、父親になる心構えをアドバイスしたり、悩みの相談に乗ったりすることも助産師の仕事です。
出産時の仕事内容
出産時には、分娩の準備や介助を行います。病院や診療所では、医師1人+助産師2人の3人体制で出産を行うのが一般的です。この場合、助産師のうち一人が母親の体をさすったり、いきみ方をアドバイスしたり、赤ちゃんの頭をおさえたりして分娩を誘導します。もう一人の助産師は生まれてきた赤ちゃんを取り上げます。
出産後の仕事内容
赤ちゃんが生まれた後は、「産褥期(さんじょくき)=母体が妊娠前の状態に回復するまでの産後6~8週間」のケアを行います。産褥期には母体にさまざまな変化が起こるので、順調に回復できるよう助産師による健康管理が必要になってきます。また、母乳のあげ方やおむつの替え方などの育児の基本を指導したり、赤ちゃんのお世話をするのも助産師の仕事です。
助産師のやりがい
助産になるためには相当な努力が必要ですが、その分やりがいも大きな仕事です。実際に助産師として働いている人たちは、誇りを持って日々の業務に取り組んでいます。
命の誕生に立ち会える
助産師の魅力と言えば、なんといっても命の誕生という感動的な瞬間に立ち会えることです。一人の人生が始まる瞬間、家族にとってかけがえのない瞬間は、何度見ても幸せな気分になれるでしょう。助産師は医師の指示がなくても赤ちゃんを取り上げることができるので、助産師メインで無事に出産を終えたときには、特に大きなやりがいと感じることができるでしょう。
女性の人生を支えられる
妊娠や出産は、女性にとって人生の中でも大変貴重なライフイベントです。それだけに、楽しみである反面わからないことや不安な気持ちを持つ女性も少なくありません。
妊娠中にはさまざまな健康リスクがあり、出産時には痛みと戦い、出産後も育児で慌ただしい日々を送ることになります。そんな女性の頑張りを専門知識でサポートできることは、同じ女性として大きなモチベーションになるでしょう。
苦労して資格を取った分誇りを持てる
助産師は2つの国家資格を必要とする職業です。そのため、助産師として働くためには相当な努力をしなければなりません。しかし、苦労して資格をとった分、専門的な仕事をしているという実感が得られ誇りを持って取り組むことができるでしょう。
保健師との違い
助産師と保健師は、いずれも看護師の資格を必要とする国家資格ですが、その仕事内容は大きく違います。助産師は妊産婦や新生児を対象としますが、保健師は企業で働く人、地域に住む人などあらゆる人に対して心や体のケアを行います。また、助産師は女性のみが資格を取得できますが、保健師は男性でも就くことができます。
専門知識で人の健康や生活のサポートをするという点では似ていますが、受験資格や対象とする人に違いがあるため、働く場所や勤務状況も変わってきます。
保健師については以下参考にしてください。
保健師の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
助産師の年収
2020年1月時点では、助産師の平均年収は530万円程度と言われています。地域や経験年数によってばらつきがあるためこの数字はあくまで平均値にすぎませんが、看護師の平均年収(約480万円)と比べて少し高い水準となっています。
2つの国家資格も必要とすることから、より専門的な仕事をする立場ということで看護師よりも助産師の方が給与水準は高く設定されている傾向があるようです。
また、助産師のパート求人もあり、東京都の場合だと時給は1,850円以上となっています。
助産師の資格を持っていれば、正社員でなくても安定した収入が期待できるでしょう。
参考:助産師の転職を応援!https://xn--2-hjuy55icqd43rm3ttgo8lvdv3a.com/
厚生労働省 賃金構造基本統計調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
助産師は2つの国家資格が必要で命の誕生に立ち会える仕事!
助産師は看護師と助産師、2つの国家資格を必要とする仕事です。助産師になるまでには最低でも4年間の修学が必要であり、相当な努力が求められます。
ハードな学生生活になることが予想されますが、その分仕事に誇りを持つことができモチベーションを保ちやすいでしょう。命の誕生という感動的なシーンに立ち会えるのも助産師の魅力です。
女性を支える仕事がしたい、感動的な仕事がしたい、努力して資格をとりたいという思いが強い人は、ぜひ助産師を目指しましょう!
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