言語聴覚士(ST)の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!

言語聴覚士(ST)の仕事女性の仕事・資格

みなさんは「言語聴覚士」という職業を知っていますか?

言語聴覚士は高齢化が問題となっている昨今、需要は今後も増えていくと予想される職業です。本記事では、言語聴覚士の仕事内容、なり方、やりがい、年収について解説していきます。

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言語聴覚士(ST)とは?

言語聴覚士とは、病気やケガ、生まれつきの障害により会話や食事が難しい人に対して、患者さんが自分らしく生きるためのサポートをする専門職です。英語で「Speech-Language-Hearing Therapist」と言い、略して「ST」と呼ばれることもあります。

理学療法士や作業療法士と同様に国家資格である言語聴覚士ですが、「話す」「聞く」「食べる」という動作に特化している点が特徴です。

言語聴覚士が対象としているのは、脳卒中や認知症によりうまく話せなくなった人、先天性の障害により言語機能の発達が遅れている子ども、摂食障害や嚥下障害を持っている人などです。幼児から高齢者まで幅広い年代を対象としており、リハビリには専門知識が必要な仕事となっています。

国家試験が始まったのは1997年と比較的新しい資格の言語聴覚士。2018年時点での有資格者は約3.1万人と、理学療法士や作業療法士と比べてまだまだ少ないですが、高齢化が進む社会の中では今後ますます需要が高まっていく仕事となるでしょう。

理学療法士、作業療法士については以下参考にしてください。

理学療法士(PT)の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
作業療法士(OT)の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!

言語聴覚士(ST)の資格を取るには

言語聴覚士になるためには、年に1度行われる言語聴覚士国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格を得るためには、次の2種類のルートがあります。

  • 高校卒業→国や自治体が指定した養成校(大学、専門学校)で3~4年修学→卒業により受験資格獲得
  • 4年制大学卒業→指定された2年制の大学や専門学校で修学→卒業により受験資格獲得

また、他の仕事から言語聴覚士に転職する人も少なくありません。その場合は高校や大学を卒業後、社会人を経験し、言語聴覚士養成校で学ぶことになります。養成校の中には、半数近くが社会人経験者というケースもあるようです。

言語聴覚士の国家試験概要は次の通りです。

  • 実施時期:毎年2月中旬
  • 受検料:34,000円
  • 試験会場:北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県
  • 試験方式:マークシート選択方式
  • 問題数:200問
  • 科目:基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語、嚥下障害学、聴覚障害学
  • 合格基準:6割以上の正答
  • 合格率:65~75%(年度によってばらつきあり)

言語聴覚士は比較的新しい国家資格ということもあり、試験会場は他の資格と比べると少なめです。住んでいる場所によっては泊りがけで受験に向かう必要があるでしょう。また、近年合格率は上昇傾向にあり、平成25年以降は合格率68%以上をキープしています。ただし、既卒者の合格率は30%程度と新卒者よりも大幅に低いので、在学中にいかに努力するかが国家試験合格のカギとも言えるでしょう。



言語聴覚士(ST)の仕事内容

言語聴覚士の仕事は、病気やケガ、先天的疾患により話すことや食べることに問題がある人に対して、自分らしく生きるために必要に応じてアドバイスや訓練を行うことです。具体的な仕事内容としては、次のようなものがあります。

言語障害へのサポート

脳卒中や頭部のケガなどによる失語症、認知症、記憶喪失などを抱えた人を対象としたサポートです。これらの障害は、聞く、話す、読む、書くといった行動が難しくなるため、日常生活に不自由が生じます。言語聴覚士は適切なリハビリにより、障害により失われた機能を可能な限り取り戻すサポートをします。

<例>

  • 専門的な検査による症状の把握。
  • 伝えたいことを話したり書いたりする訓練。
  • タブレット教材などを使って、物体の構造や組み立てを理解する訓練。

発声障害へのサポート

発声器官の障害や吃音(流暢に話せない状態)を持つ人に対して、上手く発声できるようにリハビリを行います。

<例>

  • 舌、唇、顔の筋肉など発声に関わる部位を正しく動かす訓練。
  • 障害が出にくい話し方の訓練。

聴覚障害へのサポート

生まれつきの障害や事故、病気などにより音や声が聞こえない、または聞き取りづらい人に対してリハビリを行います。

<例>

  • 聴覚検査により障害の度合いや種類を調べる。
  • 補聴器のフィッティング。
  • 人工内耳(耳の内部に電極を埋め込み、神経に直接刺激を与えて聴力を補助する器具)の調整や設置後のリハビリ。

嚥下障害へのサポート

嚥下障害とは、食べ物をうまく呑み込めず、食べたり飲んだりすることに問題がある状態です。特に高齢者に多く、歯の損失、舌や顎の筋力の衰え、脳卒中や癌などが原因となります。

<例>

  • 誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケア。
  • 嚥下に関わる器官(舌、首、胸部、型)のトレーニング。
  • ガムなどを利用した咀嚼訓練。

子どもへのサポート

言語聴覚士は、生まれつきの発達障害や発音障害、聴覚障害を持つ子どもに対してもサポートを行います。子どもひとりひとりの特性や成長段階に合わせたリハビリの選択や、育児不安を抱える親への配慮が必要となります。

<例>

  • 補聴器の使い方の指導。
  • 絵カードを用いて言葉を理解する訓練。
  • グループでの遊びや会話を通したコミュニケーション訓練。

言語聴覚士の悩み

言語聴覚士はとてもやりがいのある仕事ですが、もちろん働く上での悩みも様々。
人にとっては本当に嫌だなと思うこともあるかもしれませんので、どういう悩みを抱えているか把握しておくと、仕事を始めてから悩むことも減るでしょう。

言語聴覚士の悩みが気になる方は以下も見てみてください。
言語聴覚士の人間関係の悩みとは?職場・患者との関わり方について
言語聴覚士に向いてないと感じる?抱える悩み、向いている人の特徴について
言語聴覚士を辞めたいと思う5つの理由とは?その後の仕事は?

言語聴覚士(ST)の就職先

言語聴覚士の就職先は、医療機関、高齢者向け施設、子ども向け施設などです。幼児から高齢者まで幅広い人を対象とする仕事なので、その分就職先の選択肢も多くなります。

言語聴覚士の就職先

  • 医療機関:病院(リハビリテーション科、神経内科、小児科、口腔外科など)、リハビリテーションセンターなど
  • 高齢者向け施設:特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、訪問リハビリテーションなど
  • 子ども向け施設:特別支援学校、発達障害支援センター、児童デイサービス、児童相談所、小学校など

これらの中でも言語聴覚士の就職先として最も多いのが医療機関で、およそ7割を占めています(2017年7月 日本言語聴覚士協会調査)。また、高齢化が進む昨今では高齢者向け施設に就職する人も増えており、今後はますますその需要が伸びていく仕事であることが予想されます。

言語聴覚士(ST)のやりがい

ここまで、言語聴覚士の仕事内容や就職先について説明してきました。では、言語聴覚士として働くことにはどんなやりがいがあるのでしょうか?

人の役に立っているという実感が得られる

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」という日常生活に欠かせない動作をサポートする仕事です。生きるために必要な動作をサポートすることで、患者さんが少しずつ回復していく、前向きになっていく様子を見ることができるので、人の役に立っているという実感を強く感じられるでしょう。「人のために働きたい」という思いが強い人にとって、そういった実感は仕事のモチベーション・やりがいになります。

患者さんとのコミュニケーション

言語聴覚士は、直接患者さんと接する機会が多い仕事です。リハビリを通したコミュニケーションの中で、「障害を持った人がどのような思いを持っているのか」ということを患者さんから学ぶこともあるようです。仕事を通して新たな発見や喜びが得られるのは言語聴覚士の大きな魅力・やりがいと言えます。

専門性が高く、貴重な立場である

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」ことに特化したリハビリのプロであり、理学療法士や作業療法士などと比較して人数の少ない職業です。大きな病院でも、言語聴覚士は一人しかいないという場合も少なくありません。それだけ貴重で専門性の高い仕事なので、周囲のスタッフや患者さんから頼られることも多くなるでしょう。

言語聴覚士(ST)の平均年収

言語聴覚士の平均年収は350~400万円程度と言われていますが、就職先や経験値、地域によって大きく異なるのでこの数字はあくまで平均年収にすぎません。例えば、福祉施設や教育機関と比べると医療機関の方が給与水準は高い傾向にあり、経験年数が長いほど年収も増えていきます。

言語聴覚士として年収アップを目指すには、地道に経験を重ねる、給与水準が高い職場に転職する、新たな資格を取得してキャリアアップするといった方法があります。就職先が多様にある言語聴覚士だからこそ、収入面も考慮した選択をしたいですね。就職先、転職先を選ぶときには、判断材料のひとつとして求人情報の待遇・福利厚生についてよく調べておきましょう。

「話す」「聞く」「食べる」ことのプロである言語聴覚士は貴重な存在!

言語聴覚士は、病気やケガ、先天的疾患により会話や食事に障害を持った人に対して、自分らしく生きるためのサポートをする専門職です。1997年に国家試験が始まった言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と比べるとまだまだ人数が少ないという現状があります。専門性が高く貴重な存在であることから、多くの医療機関や福祉施設で言語聴覚士が求められています。

患者さんに寄り添ったサポートがしたい、人から頼られたい、専門的な仕事に就きたいという思いが強い人は、ぜひ言語聴覚士を目指しましょう。

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