動物看護師とは、獣医師の指示のもと動物の診療サポートや院内管理を担当する仕事です。
聞いたことはあっても「資格は要るの?」「どんな仕事をするの?」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?ここでは、動物看護師の仕事内容やなり方、やりがい、年収について解説していきます。
動物看護師とは?
動物看護師とは、主に動物病院で獣医師の診療補助をする職業で、診療中のサポートや入院中の動物のお世話、受付業務、飼い主への説明などさまざまな業務を担当します。動物病院のほかに、ペットショップや動物園、動物愛護施設などで活躍する人もいます。
2019年6月には愛玩動物看護師法が成立し、動物看護師は国家資格となることが決定したため、今後その重要性や社会的地位は向上していくでしょう。
動物看護師になるには
動物看護師は資格がなくてもなれますが、実際は「動物看護師」の認定資格を取得する人が多いため、専門学校や大学などで専門知識を学び認定資格を取得することが望ましいです。
動物看護師になるまでのルート
動物看護師になるためには、一般財団法人動物看護師統一認定機構が行う「動物看護師統一認定」に合格することが望ましいとされています。この認定試験には以下のような受験資格が定められています。
① 動物看護師統一認定機構が推奨したコアカリキュラムに基づく「動物看護学」を教育する学科あるいはコースを有する専修学校専門課程あるいは大学において、認定動物看護師になるのに必要単位数または必要時間数を正規課程で修めた者。
② 動物看護師統一認定機構の受験資格審査により個別に認めた者。
(引用:一般財団法人動物看護師統一認定機構https://www.ccrvn.jp/2019jissigaiyou.html)
動物看護学を学べる機関には、4年制大学または2~3年制の専門学校があります。動物看護師統一認定機構のページから近くの養成校をチェックしてみましょう。
動物看護師統一認定試験の概要
<動物看護師統一認定試験の概要(2020年2月時点の情報)>
試験日程 | 毎年3月 |
試験会場 | 札幌、仙台、東京第1、東京第2、名古屋、大阪、岡山、福岡、那覇 |
受験料 | 15,000円(税抜) |
試験内容 | ・一般問題90問(マーク式、100分) ・実地問題30問(マーク式、40分) |
試験分野 | 「認定動物看護師教育コアカリキュラム2019(新コアカリキュラム)」及び「動物看護師統一認定機構推奨カリキュラム(旧コアカリキュラム)」に準拠した分野 |
合格基準 | 非公開 |
また、試験の合格率については以下のようになっています。
毎年2300~2400人が受験し、合格率はおおむね85%となっています。比較的高い合格率なので、在学中にしっかりと試験対策をしてケアレスミスをしなければ難しい試験ではありません。
試験問題については一般財団法人動物看護師統一認定機構のホームページで確認できるので、気になる人はチェックしてみましょう。
一般財団法人動物看護師統一認定機構:https://www.ccrvn.jp/kakosiken.html
動物看護師の国家資格化
動物看護師は2019年6月の「愛玩動物看護師法」成立により国家資格となることが決まりました。具体的な業務内容についてはまだ決まっていないようですが、国家資格を持っていない人は一部の業務を行うことができなくなり、動物看護師と名乗れなくなります。
また、国家試験の受験資格は次のように決められています。
国家試験の詳しい情報については農林水産省のホームページを確認してくださいね。
農林水産省 愛玩動物看護師
動物看護師の仕事内容
動物看護師の役割は、スムーズな診察や治療ができるように獣医師のサポートを行うこと。病院の規模や方針により異なる部分もありますが、基本的には以下のような仕事を担当します。
診察や手術のサポート
法律上、獣医師以外は動物の診療行為はできないので、動物看護師は診察時に動物の体を支えたり、体温を測定したり、手術時に必要な器具を準備するなど獣医師の助手として働きます。
動物の臨床検査
獣医師の指示のもと、検査機器を使って血液や尿の検査をしたり、寄生虫の有無などを調べます。これらの検査は動物の健康状態を知り治療方針を決めるために非常に重要な仕事です。
薬剤の準備・説明
動物の症状に合わせて獣医師が処方した薬を、動物看護師が正確に準備し飼い主さんへ使い方や保存方法を説明します。このとき、動物の健康状態や薬の効果について分かりやすく伝えることが求められるので、動物や薬に関する専門知識が必要になります。
入院している動物のお世話
入院設備がある動物病院の場合、入院している動物の健康管理や餌やり、トイレのお世話、ケージの掃除などを行います。必要に応じて散歩やシャンプー、グルーミングなどのお世話をすることもあります。
受付業務
飼い主さんが動物を連れて来院したとき、受付をして病気やケガの状態を聞き獣医師へ伝えます。このほか、カルテの管理や会計業務、予約受付など受付に関わる業務全般を担当します。
飼い主さんへの対応
来院する飼い主さんの中には、ペットの体調に関して大きな不安を抱えている人も少なくありません。飼い主さんの話に耳を傾け、ペットの状態を聞いたりアドバイスをして不安を和らげるのも動物看護師の仕事のひとつです。
その他
飼い主さんや動物がリラックスできる環境づくりや院内清掃、スムーズな診察や治療をするための備品管理なども動物看護師の仕事です。
動物病院以外の就職先
主に動物病院で働く動物看護師ですが、専門知識を活かして以下のような場所でも活躍できます。
- ペットショップ
- ドッグカフェ
- ペットホテル
- トリミングサロン
- 動物保護施設
- 動物園
資格や実務経験による知識や技術があれば、動物病院に限らずさまざまな働き方ができるのも動物看護師の魅力のひとつと言えます。
動物看護師のやりがい
動物看護師は動物の命を預かる責任の大きな職業。幅広い業務を担当するので覚えなければならないことも多いですが、その分やりがいや喜びも大きな仕事です。
動物の命に係わることができる
動物看護師は、受付から診療、入院、退院まで長い時間動物たちと関わることができる職業です。大好きな動物の命に関わる仕事ができることは、働くうえでの大きなモチベーションとなるでしょう。
動物が元気になっていく様子を見守れる
来院する動物たちは、予防接種や定期健診などを除いて何かしらの不調を抱えています。動物看護師は獣医師と協力しながら動物や飼い主さんに向き合い、回復に向かわせることができます。動物が元気になっていく様子を見守ることにより、動物看護師としての誇りを感じることができるでしょう。
飼い主さんの安心した顔を見ることができる
来院する飼い主さんは、ペットの状態に関して大きな不安を抱えていることが多いです。受付から診療まで幅広くサポートする動物看護師は、飼い主さんからも頼りにされる存在。ペットが回復したときの飼い主さんのホッとした表情を見ると「やってよかった」と思う人も多いようです。
動物看護師の平均年収
求人ボックス給料ナビによると、2020年1月時点の動物看護師の平均年収は正社員で277万円となっています。月収に換算すると23万円となり、給与所得者全体の平均年収と比較して低い数値となっています。
現段階(2020年2年)では国家資格ではないため給与水準が低く設定されているようですが、今後国家資格として浸透すれば待遇が良くなる可能性もあるでしょう。
また、動物看護師の収入は病院の規模によっても大きく異なり、個人経営の場合は賞与がない場合もあります。動物看護師として就職するときには、勤務先の給与水準や各種手当についてよく確認しましょう。
参考:求人ボックス給料ナビ
動物看護師の将来性
昨今、高齢化や共働き世帯の増加により日本でのペット飼育数は減少傾向にあるため、動物病院の市場規模は縮小していく可能性が考えられます。しかし、アニマルセラピーなどの活動が広がりつつあるため、多様な働き方ができるという見方もできます。
また、2019年6月の「愛玩動物看護師法」成立により動物看護師は国家資格になることが決まり、遅くても2023年までには国家試験が始まることになりました。国家資格として認められることで、社会的地位の向上により待遇の改善にもつながる可能性があります。
動物病院自体の数は減少する可能性がありますが、社会的地位の向上や活躍の場の拡大により、動物看護師はより働きやすい職業となっていくでしょう。
動物看護師はもうすぐ国家資格になる職業
動物看護師は獣医師の指示のもと動物の診療サポートや院内管理を担当する仕事です。これまでは資格不要でしたが、愛玩動物看護師法の成立により2023年までに国家試験が始まることが決まりました。国家資格になることにより、資格を持っていない人は一部の業務を行うことができなくなります。
今後は国家資格を条件とする動物病院が増えてくると予想されるため、動物看護師を目指す人は国家試験についての情報をこまめにチェックしておきましょう。