「安定した医療業界で働ける」「未経験からでも始められる」「ブランクがあっても復職しやすい」といった理由で、幅広い年代に人気の医療事務。しかし、生活をしていくうえでは給料も気になるところです。
そこで今回は、医療事務の平均年収や給料が安い理由、給料を上げる方法などについて紹介します。医療事務の給料に不満を持っている人やこれから医療事務になろうと考えている人はぜひ参考にしてください。
今から医療事務を目指したい!という方は以下をご覧ください。
医療事務に必要な資格とは?医療事務の仕事内容・やりがい、年収についてを解説!
医療事務の平均年収と相場
日本医療労働組合連合会の「2019年度賃金労働時間等実態調査」では、医療事務のモデル賃金は以下のようになっています。
初任給 | 35歳 | 50歳 | 59歳 | |
大卒事務 | 182,488円 | 258,947円 | 337,633円 | 357,843円 |
高卒事務 | 158,063円 | 251,485円 | 323,635円 | 344,890円 |
引用元:日本医療労働組合連合会「2019年度賃金労働時間等実態調査」・http://irouren.or.jp/research/36dc844f4b039d231be1385d98f54072d94733e3.pdf
また、実際の求人情報を見ると、正社員なら月収15~23万円程度、派遣社員なら時給1,000~1,700円程度、パートなら時給900~1,400円程度が相場となっています。平均年収としては、280~350万円程度といったところでしょう。
ただし、これらの数値はあくまでもモデル賃金や平均年収。実際には、経験年数や地域、勤務体系、役職などによって大きく異なるので、参考値として考えておきましょう。
医療事務の給料は安い?
モデル賃金や平均年収を見ると、医療事務は給料が高い仕事とは言えません。一般的なサラリーマンや、保育士や栄養士、歯科衛生士など他の専門職と比べても低めの相場となっています。
では、なぜ医療事務は給料が安いのでしょうか?
医療事務の給料が安い理由
医療事務の給料が安いのには、以下の理由が考えられます。
- 未経験でも始められる
- 学歴や国家資格が不要
- 人気が高まって人手が増えてきた
- 勤務時間が比較的安定している
医療事務には、レセプト作成やクラーク業務など特別な知識が必要とされる仕事も含まれます。しかし、国家資格が必要なほかの医療職と比べると専門性は低いと判断されるため、給料が低めに設定されているのです。
また、
- 未経験でも資格を取りやすい
- 安定した医療業界で働ける
- 全国に働き口がある
- 転職・復職がしやすい
などの理由で人気が高まってきたため、「代わりの人材を確保しやすい仕事」と考えられている側面もあります。
さらに、職場の勤務体系や人材配置の状況などにもよりますが、医療事務は残業が少なく勤務時間が安定している傾向にあります。そのため、夜勤や残業手当が多く含まれる仕事と比べると給料も低くなります。
これらの理由から、現状、医療事務はあまり給料の高い仕事とは言えません。ただし、ワークライフバランスや安定性、挑戦しやすさなどを考えると、働きやすい仕事と言えるでしょう。
医療事務の給料を上げるには?
前述したように、医療事務は給料よりも働きやすさや安定性が魅力の仕事です。とはいえ、モチベーション高く続けていくため、生活していくためには、給料もないがしろにはできません。そこで次に、医療事務の給料を上げる方法を紹介します。
資格を取ってスキルアップ
医療事務は国家資格が必須な職業ではありません。レセプト業務など特別な知識を必要とする仕事もありますが、働きながらでも知識の習得は可能です。しかし、民間資格を取得すると採用時に有利になりますし、給料に資格手当が上乗せされる場合もあります。そして何より、知識の幅を広げられるためスキルアップに繋がるでしょう。
- 診療報酬請求事務能力認定試験(公益財団法人 日本医療保険事務協会)
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)(一般財団法人 日本医療教育財団)
- 医療情報実務能力検定試験(特定非営利活動法人 医療福祉情報実務能力協会)
- 医療事務検定試験(日本医療事務協会)
- 医療秘書技能検定試験(一般社団法人医療秘書教育全国協議会)
- 診療情報管理士(一般社団法人日本病院会)
- ケアクラーク技能認定試験(一般財団法人日本医療教育財団)
上記のように、医療事務には多数の関連資格があります。スキルアップ・給料アップを目指す人はまず資格の取得を目指しましょう。
長く続ける
未経験でもなれる医療事務ですが、経験者の方が優遇される傾向にあります。そして、勤務先の給与形態にもよりますが、勤続年数によって給料も徐々に上がっていくのが一般的です。そのため、医療事務として安定した収入を得たいのならば、同じ職場で長く続けるのもひとつの方法です。
大学病院や総合病院などでは、事務職にも役職が付く場合があるので、長く勤めることで年収400~600万円も不可能ではありません。ただし、個人クリニックではなかなか昇格・昇給しないこともあるので、勤務先の給与形態をよく確認しておきましょう。
待遇の良い職場を探す
長く続けたり資格を取ったりしても給料アップが見込めない、今の職場に大きな不満があるといった場合は、思い切って転職するのも良いでしょう。たとえば、規模の大きな病院では賞与や手当、福利厚生が充実していますし、自由診療をしている医療機関は給与水準が高い傾向にあります。ある程度残業があってもかまわないという場合は、救急病院もおすすめです。
基本的には即戦力となるスキルがある人の方が採用時に有利になるので、待遇の良い職場に転職するには、ある程度の経験を積んでおくと良いでしょう。
給料アップには転職も1つの選択肢にしよう
医療事務は、国家資格不要、全国で安定して働ける、勤務時間が安定しているといった理由から、幅広い年代から人気を集めています。しかし、給料面ではそれほど恵まれていないため、不満を持つ人もいるでしょう。給料をアップさせるには、資格を取る、経験を積むなどの方法がありますが、思い切って転職するのもひとつの選択肢です。
同じ医療事務でも、施設規模や勤務時間、昇給スピード、手当の有無、福利厚生などによって給料は異なります。勤務地や具体的な仕事内容なども考慮しながら、自分に合う転職先を探してみましょう。