皆さんはフードコーディネーターという職業をご存じでしょうか?
フードコーディネーターはメニュー開発や盛り付け、食育などあらゆる場面で食のプロとして活動する職業です。ここでは、フードコーディネーターの資格や仕事内容、やりがい、年収について紹介していきます。
フードコーディネーターとは?
フードコーディネーターとは、レストランのプロデュースや食品開発、料理教室の運営など、さまざまな角度から食の楽しみ方を提案する「食のプロ」です。国家資格ではなく、無資格でもフードコーディネーターと名乗ることができますが、食に関するプロである証明として多くの人が日本フードコーディネーター協会の認定資格を持って活動しています。
フードコーディネーター資格には3級、2級、1級がありますが、2019年3月までに約100人が1級に合格し、飲食店や食品会社、料理教室などさまざまな場所で活躍しています。
フードコーディネーターの資格を取るには
フードコーディネーターは非営利活動法人日本フードコーディネーター協会が行っている民間資格です。この資格を持っていなくてもフードコーディネーターと名乗ることはできますが、プロとして活躍している人の多くはこの資格を取得しています。
フードコーディネーターの試験概要
日本フードコーディネーター協会の認定資格には3級、2級、1級があり、それぞれ年1回ずつ試験が行われます。
<3級試験概要(2020年2月時点の情報)>
受験資格 | 中卒以上 |
試験日程 | 年1回(10~11月の日曜日) |
試験会場 | 東京、名古屋、大阪、福岡 |
費用 | 受験料:11,000円(非会員)、6,000円(会員) 資格認定料:21,000円 |
試験方式 | マークシート方式 |
試験内容 | 文化、科学、デザイン・アート、経済・経営 |
合格率 | 非公開 |
備考 | 調理師、栄養士、管理栄養士、製菓衛生師の資格を持っている人は一部免除。 |
<2級試験概要(2020年2月時点の情報)>
1次試験 | 2次資格認定講座 | |
受験資格 | 3級認定登録者 | 1次試験通過者または 2級他分野の合格者 |
試験日程 | 年1回(6~7月) | 年1回(8月) |
試験会場 | 東京、大阪、福岡 | 東京、大阪、福岡 |
費用 | 受験料:11,000円(非会員)、6,000円(会員) | 受講料:15,000円 資格認定料:21,000円 |
試験方式 | マークシート方式 | - |
試験内容 | レストランプロデュース、商品開発、食の生産・流通・消費、ホスピタリティ&ライフサポート、イベント・メディア | 講座受講後、「レストランプロデュース」「商品開発」「イベント・メディア」より1つ選択し、企画書の課題を提出 |
合格率 | 75~85% | - |
備考 | 2分野目以降の資格認定料は6,000円 |
<1級試験概要(2020年2月時点の情報)>
1次試験 | 2次資格認定講座 | |
受験資格 | 2級認定登録者(取得分野に限る) | 1次試験通過者 |
試験日程 | 年1回(9月末) | 年1回(2~3月) |
試験会場 | ― | 東京 |
費用 | 受験料:12,000円 | 受験料:16,000円 資格認定料:31,000円 |
試験方式 | 企画書作成 | - |
試験内容 | 「レストランプロデュース」「商品開発」「イベント・メディア」より1つ選択 | プレゼンテーション、面接(自己紹介3分、プレゼンテーション15分、質疑応答10分) |
合格率 | 55~60% | 80%前後 |
備考 | 1次試験は締切日までに企画書を送付 |
3級はマークシートの試験のみ、2級はマークシートと企画書、1級は企画書と面接という試験内容になっています。合格率はそれほど低くありませんが1級を取得するためには企画書の作成が必須なので試験直前の丸暗記では太刀打ちできません。3級、2級と基礎からきちんと学んで着実に理解を深めておく必要があるでしょう。
資格の勉強方法
フードコーディネーターの資格の勉強方法として、日本フードコーディネーター協会は試験対策講座の受講を推奨していますが、専用テキストを使って独学でもできます。
<試験対策講座概要>
受講料 | 受講会場 | |
3級 | 2科目:13,000円 4科目:21,000円 | 東京、横浜、名古屋、大阪、福岡 |
2級 | 20,000円 | 東京、名古屋、大阪、福岡 |
1級 | 1分野あたり16,000円 | 東京 |
<専用テキスト>
3級 | 柴田書店発行「新・フードコーディネーター教本2020」または「フードコーディネーター教本2019」 |
2級 | 三恵社発行「2級フードコーディネーター教本」 |
1級 | なし |
また、必要な科目を履修できる養成施設を認定校としており、認定校で指定の科目を履修した場合には3級資格認定試験が免除されます。認定校は、大学や短期大学、専門学校など全国に78校(2019年4月現在)ありますが、入学時期などは学校によって異なるため詳細は各校を確認しましょう。
認定校について:https://www.fcaj.or.jp/exam/accredited
フードコーディネーターと管理栄養士の違いとは
同じく食に関する仕事をする職業に管理栄養士がありますが、フードコーディネーターとは仕事内容や資格条件などが異なります。
管理栄養士は国家資格であり、医療機関などで、病気やけがなどで食事を摂ることが難しい人や特別な配慮が必要な人に対して栄養指導・食事管理をする仕事です。
それに対し、フードコーディネーターは栄養や食材に関する知識だけでなく、企画力、調理義技術、運営力など食に関する総合的なスキルが求められます。
栄養に関する知識で食事に問題を抱える人のサポートをするのが管理栄養士であり、より幅広い人対して食の提案をするのがフードコーディネーターということになります。
管理栄養士についてはこちらもチェックしてみましょう!
管理栄養士の資格とは?資格の取り方から仕事内容・年収、やりがい等を簡単に解説!
フードコーディネーターの仕事内容
日本フードコーディネーター協会によると、フードコーディネーターは「新しい食の「ブランド」「トレンド」を創る 食の「開発」「演出」「運営」のクリエーター」であると定義付けられています。これに従い、フードコーディネーターは食を総合的にマネジメントします。
引用:日本フードコーディネーター協会 フードコーディネーターとは
食の開発
食品メーカーや飲食店、給食などのメニュー開発、小売業のPB(プライベートブランド)商品、新しい食のサービスの提案などを行います。味や栄養面だけでなく、コンセプトや調理工程、見た目、コストなどあらゆる面を考慮した開発が求められます。
食の演出
フードコーディネーターの仕事は美味しい食事を作ることだけではありません。テレビや雑誌などのメディアへの紹介方法や写真撮影のスタイリング、飲食関連の記事作成、食品の売り方や陳列方法の提案など、食に関する情報を魅力的に発信する役割も担っています。
食の運営
食に関する幅広い知識を活かし、食育教室や料理教室、地産地消プログラムなどの運営をすることもフードコーディネーターの仕事です。食材選定や栄養、調理技術のほか、マネジメントや企画力などさまざまな能力が必要になります。
フードコーディネーターの就職先
フードコーディネーターの多くはフリーランスとして活動していますが、正社員やアルバイトとして働く人もいます。フードコーディネーターとして就職するには次のような選択肢があります。
食品メーカー
食に関する幅広い知識を活かし、食品メーカーで商品企画やマーケティング、宣伝の仕事を行うフードコーディネーターもいます。ただし、一般企業において「フードコーディネーター」という職種で社員を採用することは少なく、資格を持っているからと言って食品メーカーに就職できるとは限りません。また、一社員として異動により他の職種になる可能性があることも理解しておきましょう。
飲食店
レストランや飲食チェーンの本部などでは、メニュー開発や店舗コーディネート、企画立案などを行います。ただし、食品メーカーと同様にフードコーディネーターという職種で募集していることは少ないため、すぐに専門的な仕事を任せてもらえるとは限りません。正社員やアルバイトという形で飲食店に勤務する場合、フードコーディネーターとしての仕事以外にも店舗営業に関わるあらゆる業務を行うことが多いようです。
料理教室
料理を作ることが好きな人や人に教えるのが好きな人は料理教室に就職するという選択肢もあります。料理教室には調理師や栄養士など他の資格を持った人も活躍しているので、それぞれの得意分野を活かしながら生徒への指導や、カリキュラムの考案、教室の運営に関わる業務を行います。
フードコーディネーターのやりがい
フードコーディネーターは料理や食に興味のある人にとって非常に魅力的な仕事。働く場所や人によって仕事内容はさまざまですが、日々の仕事を通して強いやりがいや誇りを感じなら働くことができます。
作った料理がテレビや雑誌で紹介される
フードコーディネーターとして働くと、自分が作った料理やコーディネートした飲食店、企画に携わった食品などがメディアで取り上げられることもあります。自分のアイディアや努力が認められ多くの人に知ってもらえたときには大きなやりがいを感じることができるでしょう。
アイディア次第で仕事の幅が広がる
フードコーディネーターは国家資格でないため業務内容について公式は規定がありません。つまり、自分のアイディア次第で活躍の場はどんどん広げられます。特にフリーランスとして活動する場合、新しい発想でこれまでになかった価値観やビジネスを確立することも不可能ではありません。
フードコーディネーターの年収
フードコーディネーターはフリーランスとして活躍する人が多いため、仕事内容や量によって年収は大きく異なります。国家資格の仕事や一般企業の会社員のように給与水準が決まっているわけでないので「平均年収はこれくらい」と言うことができません。駆け出しの時期はアルバイト程度の年収になることが予想されますが、テレビ出演や書籍出版もできるくらい人気になれば年収1,000万円を超えることもあるでしょう。
正社員の場合、求人ボックス給料ナビによると2020年1月時点では平均年収385万円となっています。企業に勤務する場合はフードコーディネーターとしての収入というよりも就職先の給与水準によるので就職をするときにはよく確認しましょう。
引用:求人ボックス給料ナビ
フードコーディネーターの将来性
昨今の食育への関心の高まりや食に関するビジネスの多様化により、食のプロであるフードコーディネーターの仕事はアイディアと努力次第でどんどん広がるでしょう。
ただしフリーランスとして働く場合は、収入が不安定になる可能性もあり相当な努力と覚悟が必要になります。また、フードコーディネーターの資格を持っているからといって就職に有利になるとは限らないため、資格を取ったうえでどのようにスキルを上げていくかを考えておく必要もあります。
フードコーディネーターとして活躍したいならば、合わせて調理師免許や栄養士資格、企画や販売の実務経験などを積んでおくことが望ましいでしょう。
フードコーディネーターの資格に挑戦しよう
フードコーディネーターは食品の開発やコーディネート、運営などあらゆる角度から食をプロデュースする仕事です。多くの人はフリーランスとして活躍していますが、食品メーカーや飲食店などに就職することも可能です。
資格がなくても名乗ることはできますが、フードコーディネーターの認定資格を持っておくことが望ましいです。食べることが好き、食を通して人を笑顔にしたい、新しい食文化を作りたいと思う人はフードコーディネーターの資格に挑戦してみてはいかがでしょうか?